【2027年改正】永住許可制度の適正化
在留期間の更新を何度か重ね、「そろそろ永住許可を取りたい」と考え始めた方へ。永住許可は、在留期間の更新が不要になり、就労の制限もなくなる在留資格です。ただし、審査の要件は年々明確化され、2027年4月には制度の適正化も予定されています。本記事では、出入国在留管理庁の公表情報にもとづき、永住許可の要件・必要書類・手数料・審査期間と、申請前に押さえるべき注意点を整理します。
※本記事は2026年8月8日時点の出入国在留管理庁公表情報にもとづきます。制度は変更される場合があるため、申請時は必ず最新情報をご確認ください。
永住許可とは(在留期間の更新との違い)
永住許可を受けると、在留期間の更新手続が不要になり、就労内容の制限もなくなります。出入国在留管理庁によると、永住者には活動や在留期間についての制限がありません。一方で、在留カードの有効期間の更新申請や住居地の届出といった入管法上の義務は引き続き必要で、在留資格の取消制度や退去強制制度の対象となる点は変わりません。
なお、永住許可(在留資格の一つ)と帰化(日本国籍の取得)は別の制度です。帰化した場合は入管法に基づく在留管理の対象ではなくなります。本記事は永住許可について解説します。
永住許可の3つの法律上の要件
「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)では、永住許可の法律上の要件として次の3つが挙げられています。
要件1:素行が善良であること
法律を遵守し、日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいることとされています。
要件2:独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
日常生活において公共の負担にならず、その有する資産または技能等から見て、将来において安定した生活が見込まれることとされています。
要件3:その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
この要件には、次の内容が含まれます。
- 原則として引き続き10年以上日本に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格をもって引き続き5年以上在留していること
- 罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務(納税、公的年金・公的医療保険の保険料の納付、入管法に定める届出等の義務)を適正に履行していること
- 現に有している在留資格について、最長の在留期間をもって在留していること
- 公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと
なお、日本人・永住者・特別永住者の配偶者または子である場合は、要件1・2への適合は求められません。
特に注意すべきは公的義務の履行です。ガイドラインには、申請時点で納税・納付済みであっても、当初の納期限内に履行されていない場合は原則として消極的に評価される、と明記されています。「あとでまとめて払ったから大丈夫」とは限りません。
出典
- 出入国在留管理庁「永住許可に関するガイドライン(令和8年2月24日改訂)」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan50.html、2026年8月8日確認)
10年在留の特例(早く申請できるケース)
原則は「引き続き10年以上」ですが、一定の場合には短い在留期間で申請できる特例が定められています。主なものは次のとおりです。
| 対象 | 必要な在留期間 |
|---|---|
| 日本人・永住者・特別永住者の配偶者 | 婚姻3年以上継続+引き続き1年以上在留 (実子等は1年以上在留) |
| 「定住者」の在留資格 | 5年以上継続して在留 |
| 難民・補完的保護対象者の認定を受けた者 | 認定後5年以上継続して在留 |
| 我が国への貢献があると認められる者 | 5年以上在留 |
| 高度専門職ポイント70点以上 | 3年以上継続して在留 |
| 高度専門職ポイント80点以上/特別高度人材 | 1年以上継続して在留 |
就労系の在留資格で働いている方は、高度専門職のポイント計算を行うと、10年を待たずに申請できる可能性があります。70点以上で3年、80点以上で1年が目安です。自分の点数は出入国在留管理庁のポイント計算表で確認できます。
必要書類・手数料・審査期間
主な必要書類
必要書類は申請人の在留資格によって異なりますが、共通して求められる主なものは次のとおりです。実際の提出書類は在留資格の区分(就労系・配偶者・定住者・高度人材など)で変わるため、詳細は入管庁の該当ページで確認してください。
- 永住許可申請書、写真(縦4cm×横3cm)
- 理由書
- 身分関係を証する資料(住民票など)
- 職業・収入を証する資料(在職証明、課税・納税証明など)
- 公的年金・公的医療保険の納付状況を証する資料
- 身元保証書(身元保証人は通常、配偶者などになります)
手数料
許可されるときに10,000円(収入印紙で納付)が必要です。在留資格取得の場合は手数料はかかりません。
審査期間
入管庁が公表する標準処理期間は4か月です。ただし、これはあくまで標準的な目安であり、申請内容や時期によって実際の期間は前後します。最新の在留審査処理期間は入管庁の公表資料で確認できます。
出典
- 出入国在留管理庁「永住許可申請」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-4.html、2026年8月8日確認)
- 出入国在留管理庁「永住許可申請1(必要書類)」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/zairyu_eijyu01.html、2026年8月8日確認)
永住権の更新に費用はかかる?よくある誤解を解説
「永住権の更新にいくらかかるのか」と心配される方が多くいますが、ここには重要な誤解があります。結論から言うと、永住者が定期的に行う手続きは「永住資格そのものの更新」ではなく「在留カードの有効期間の更新」であり、この手数料は無料です。
永住者に「在留期間の更新」は不要
永住者は在留期間に制限がないため、就労ビザや配偶者ビザのような「在留期間更新許可申請」は必要ありません。この点が、更新のたびに手数料や書類が必要な他の在留資格との大きな違いです。「永住権 更新 費用」で調べても明確な金額が出てこないのは、そもそも永住資格自体を更新する手続きが存在しないためです。
更新が必要なのは「在留カード」
ただし、永住者であっても在留カード自体には有効期間があり、こちらは更新が必要です。出入国在留管理庁によると、永住者(16歳以上)の在留カードの有効期間更新申請は、有効期間の満了日の3か月前から満了日までの間に行う必要があります。手数料はかかりません。標準処理期間は原則として即日交付です(出典:出入国在留管理庁「在留カードの有効期間の更新申請」https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00011.html、2026年8月22日確認)。
「永住者だから期限はない」という思い込みで在留カードの更新を忘れると、法律上の不利益を受けるおそれがあります。永住資格を失うわけではありませんが、在留カードは期限内に必ず更新しましょう。
| 項目 | 永住者の場合 |
|---|---|
| 在留期間の更新 | 不要(在留期間に制限なし) |
| 在留カードの更新 | 必要(有効期間満了日の3か月前から) |
| 在留カード更新の手数料 | 無料 |
| 処理期間 | 原則として即日交付 |
なお、これから永住許可を申請する場合の要件については、この記事の前半で解説したとおりです。永住が認められれば、こうした更新の負担が大きく軽減されるのも大きなメリットといえます。
【2027年4月】永住許可制度の適正化に注意
永住申請を検討している方が知っておくべき制度変更です。出入国在留管理庁によると、永住許可制度の適正化により、永住許可を受けた後であっても、故意に公租公課(税金・社会保険料など)の支払をしないなど一定の場合には、「永住者」の在留資格が取り消され、または「永住者」以外の在留資格に変更されることがあります。
ただし入管庁は、これは一部の悪質な事例を対象とするものであり、大多数の永住者を対象とするものではないと説明しています。次の点も明示されています。
- うっかり在留カードを携帯しなかった場合などで在留資格を取り消すことは想定していない
- 病気や失業などでやむを得ず公租公課を支払えない場合は、取消しを想定していない
- 取消事由に該当しても直ちに出国となるのではなく、多くの場合「定住者」などの在留資格への変更が想定されている
実務上の意味は明快です。永住許可の取得後も、税金や社会保険料の支払を期限内に続けることが、これまで以上に重要になります。申請前だけ整えれば良いという性質のものではなくなりました。
出典
- 出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」(https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa_00003.html、2026年8月8日確認)
申請前に確認すべき3つのポイント
ポイント1:在留年数の要件を満たしているか
原則10年、就労資格での5年以上を満たしているか確認します。高度専門職ポイントに該当すれば、より短い期間で申請できる可能性があります。
ポイント2:公的義務を期限内に履行してきたか
納税・年金・健康保険料を、納期限内に支払ってきたかを振り返ります。過去に遅れがある場合、その履歴が審査で消極的に評価される可能性があります。申請時期の調整を含めた検討が必要です。
ポイント3:在留資格が最長の在留期間になっているか
現在の在留資格が最長の在留期間になっていることも要件の一つです。次回の在留期間更新のタイミングとあわせて、永住申請の計画を立てるのが現実的です。
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