外国人採用の失敗はなぜ起きる?コストがムダになる3つの原因と防ぎ方【企業向け】
「外国人採用に100万円近くかけたのに、半年で辞めてしまった」——中小企業の人事担当者から、こうしたご相談が増えています。外国人採用の失敗は、採用時点ではなく採用を決める前の確認不足で決まります。本記事では、失敗が起きる仕組みと、出入国在留管理庁の公表資料にもとづく確認事項を整理します。
※本記事は2026年7月20日時点の出入国在留管理庁公表情報にもとづきます。
外国人採用の失敗で、実際にいくら失うのか
外国人1名の採用にかかる初期コストは、企業が当初想定する金額を上回りがちです。技術・人文知識・国際業務(技人国)でも特定技能でも、以下の費用が発生します。
| 費目 | 目安 | 内容 |
|---|---|---|
| 人材紹介費 | 30〜80万円 | 年収の20〜30%が相場 |
| 渡航・転居費 | 10〜20万円 | 航空券・引越し・初期生活費 |
| 教育・研修費 | 5〜30万円 | 日本語研修・業務研修 |
| 支援委託費 | 月2〜5万円 | 登録支援機関への委託費(特定技能の場合) |
特定技能では、支援費用を本人に負担させることができない
特定技能で見落とされやすいのが、支援にかかる費用の負担者です。出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q79では、受入れ機関が実施しなければならない支援については受入れ機関が負担しなければならないとされています。同Q80では、法務省令に規定された各支援事項は義務的支援であり、その実施に要する費用は受入れ機関の負担と明示されています。
具体的には、次の費用が企業負担になります。
- 通訳人の確保にかかる費用(同Q81)
- 出入国する空港への送迎の交通費(同Q83)
- 賃貸保証会社を利用する場合の手数料(同Q89)
- 外国人が帰国費用を負担できない場合の帰国費用(同Q82)
なお同Q76では、義務的支援の実施に要した費用を本人に負担させることは認められないとされています。「あとで本人から回収すればよい」という前提で採用計画を立てると、想定が崩れます。
出典
- 出入国在留管理庁「特定技能制度に関するQ&A」Q76・Q79〜Q83・Q89(https://www.moj.go.jp/isa/policies/ssw/faq.html、2026年7月20日確認)
外国人採用が失敗する3つの理由
理由1:業務内容と在留資格が合っていない
技人国は、自然科学・人文科学の分野に属する技術や知識を要する業務、または外国の文化に基盤を有する思考・感受性を必要とする業務に従事する活動が対象です。該当例として、機械工学等の技術者、通訳、デザイナー、私企業の語学教師、マーケティング業務従事者等が挙げられています。
入社後に単純作業が業務の中心になると、本人の離職につながるだけでなく、在留期間更新の際に活動実態が問われる要因になります。出入国在留管理庁は、本来の在留資格に基づく活動を行っていない場合には在留資格を取り消される場合があるとしています。
理由2:社内の受入れ体制が決まっていない
外国人材の定着には、業務指導以外のサポートが欠かせません。特定技能では、受入れ機関が実施すべき義務的支援として、雇用契約内容に関する情報提供、空港への送迎、適切な住居の確保に係る支援、日本人との交流促進に関する支援、本人の責めによらない契約解除時の転職支援などが定められています(Q78)。
これらを登録支援機関に委託することは可能ですが、委託契約には受託する支援業務の内容と費用の額・内訳を盛り込む必要があります(Q70)。委託範囲が曖昧なまま契約すると、実務が宙に浮きます。「社内の窓口は誰か」を先に決めていない企業ほど、離職が早い傾向があります。
理由3:本人の定着意向を確認していない
「日本で長く働きたい」のか「まず来日してみたい」のかで、定着率は大きく変わります。面接での確認が形式的だと、本音の動機が把握できません。
制度面の確認も必要です。特定技能1号の通算在留期間は原則5年が上限とされており(Q28)、その先も雇用を続ける前提であれば、特定技能2号への移行可否を採用時点で検討しておく必要があります。特定技能2号は1号より高い技能水準が求められ、1号を経れば自動的に移行できるわけではありません(Q12)。
【2026年4月改正】技人国の提出書類が追加されました
これから技人国で採用を予定している企業が必ず確認すべき変更点です。出入国在留管理庁の公表によると、令和8年(2026年)4月15日以降の申請から、カテゴリー3またはカテゴリー4に該当する場合、以下の書類を追加で提出する必要があります。
- 所属機関の代表者に関する申告書
- (主に言語能力を用いて対人業務等に従事する場合)業務上使用する言語について、CEFR・B2相当の言語能力を有することを証する資料
自社がカテゴリー3・4に該当するかを確認する
カテゴリーは所属機関の区分です。カテゴリー3は、前年分の職員の給与所得の源泉徴収票等の法定調書合計表が提出された団体・個人(カテゴリー2を除く)とされ、カテゴリー4はそのいずれにも該当しない団体・個人とされています。上場企業や源泉徴収税額1,000万円以上の企業以外は、多くが該当します。
日本語能力の証明が必要になる職種
入管庁の注記によれば、申請職種が「翻訳・通訳」やホテルフロント業務等の「接客」の場合など、日本語能力等の言語能力を用いた業務に主に従事する場合に提出が必要とされています。すでに在留中の方でも、業務内容の変更や転職により言語能力を用いた業務に主に従事することとなった場合は、在留期間更新許可申請時に提出が必要です。
なお、以下に該当する場合はCEFR・B2相当の日本語能力を有するものとみなされます。
- JLPT・N2以上を取得していること
- BJTビジネス日本語能力テストで400点以上を取得していること
- 中長期在留者として20年以上本邦に在留していること
- 本邦の大学を卒業し、又は本邦の高等専門学校若しくは専修学校の専門課程若しくは専攻科を修了していること
- 我が国の義務教育を修了し高等学校を卒業していること
採用選考の段階でこの要件を把握していないと、内定後に証明資料が用意できず、入社時期が後ろ倒しになります。入管庁は、提出書類が揃っていない申請の場合、大幅に審査が遅れる、または不利益処分となり得る可能性があるとして注意を促しています。
出典
- 出入国在留管理庁「在留資格『技術・人文知識・国際業務』」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/status/gijinkoku.html、2026年7月20日確認)
- 出入国在留管理庁「『技術・人文知識・国際業務』の在留資格の明確化等について」(https://www.moj.go.jp/isa/applications/resources/nyukan_nyukan69.html、2026年7月20日確認)
失敗を防ぐために、採用決定前に確認すべき3点
確認1:業務内容が在留資格に適合するかを事前に精査する
「この業務内容で技人国の許可が出るか」は、内定を出す前に確認すべき事項です。申請後に問題が判明しても、採用スケジュールの修正はききません。あわせて、自社のカテゴリー区分と、2026年4月15日以降に必要となる追加書類の要否も確認してください。
確認2:社内の受入れ担当者と支援範囲を先に決める
入社前に「社内の窓口は誰か」「何かあれば誰に相談するか」を決めておきます。特定技能で登録支援機関に委託する場合は、支援業務の内容と費用の内訳を契約書面で明確にしてください。
確認3:本人のキャリアと在留期間の見通しをすり合わせる
「5年後どうなりたいか」「家族をどうするか」「日本語学習をどう続けるか」を面接で確認します。特定技能1号の通算5年の上限を踏まえ、その先の在留資格をどう設計するかまで想定しておくと、採用コストの回収期間が読めるようになります。
関連記事
採用を決める前に、適合性を確認しませんか
「この業務内容で在留資格が取れるか」「自社はどのカテゴリーに該当するか」を個別に確認します。相談から申請まで全国オンライン対応。社内稟議用のお見積書を発行いたします。
初回相談・お見積りまで費用はかかりません。

