【実務効率化】在留資格オンライン申請の利用範囲と2026年の運用状況

外国人材のCOE申請や在留期間更新のたびに、人事担当者が入管の窓口へ出向き、数時間待たされる——。この負担は、オンライン申請の導入で大きく変わります。

在留申請オンラインシステムを使えば、窓口に行かず、24時間365日、オフィスから申請が可能です。さらに前回の記事でご紹介したCOEの電子交付と組み合わせれば、申請から証明書の受け取りまで、一度も入管に出向かずに完結します。

この記事では、企業の人事・採用担当者向けに、オンライン申請の対象範囲、利用開始までの手続き、そして「採用が決まってから登録を始めて間に合わなかった」を避けるための準備タイミングを整理します。

在留申請オンラインシステムとは

出入国在留管理庁が運用する、在留関係の申請をインターネット経由で行えるシステムです。従来は窓口へ出向くか、郵送(一部手続きのみ)に限られていた申請を、オフィスのパソコンから完結できます。

窓口申請との違い

項目窓口申請オンライン申請
申請可能時間平日の受付時間内24時間365日
移動・待ち時間発生(数時間〜)なし
管轄管轄の地方局へ出向く全国どこからでも
審査状況の確認問い合わせが必要システム上で確認可能
事前準備不要利用申出・ID取得が必要

審査状況をシステム上で確認できる点は、実務上かなり有用です。「今どこまで進んでいるのか」が見えるため、入社日から逆算したスケジュール管理がしやすくなります。

オンライン申請の対象となる手続き

企業の人事担当者が関わる主要な手続きは、ほぼカバーされています。

  • 在留資格認定証明書交付申請(COE申請)——海外から新たに人材を招へいする場合
  • 在留期間更新許可申請——既に在籍している外国人社員の在留期間を延長する場合
  • 在留資格変更許可申請——留学生を新卒採用する場合など
  • 就労資格証明書交付申請——転職者を受け入れる場合
  • 資格外活動許可申請
  • 再入国許可申請

なお、対象となる在留資格や手続きの範囲は随時拡大されています。自社の予定している手続きが対象かどうかは、申請前に出入国在留管理庁のサイトで確認してください。

利用できるのは誰か

オンライン申請を利用できるのは、主に以下の立場の人です。

  • 所属機関の職員(外国人を受け入れる企業・団体の職員)
  • 申請取次の資格を持つ行政書士・弁護士
  • 登録支援機関の職員
  • 外国人本人(対象手続きは限定的)

企業が自社で申請する場合は「所属機関の職員」として、行政書士に依頼する場合は行政書士が申請取次者として、それぞれオンライン申請を行うことになります。

利用開始までの流れ:ここが最大の落とし穴

オンライン申請は、思い立った日にすぐ使えるわけではありません。事前に「利用申出」を行い、承認を受けて認証ID(利用者ID)を取得する必要があります。

大まかな手順

  1. 利用申出に必要な書類を準備する(法人番号がわかる資料、申出者の身分証明書、所属機関との関係を証する資料など)
  2. オンライン、または管轄の地方出入国在留管理局へ利用申出を行う
  3. 入管による審査
  4. 承認後、認証IDが発行される
  5. 初回ログイン・パスワード設定を行い、利用開始

ID発行までにかかる期間を織り込む

利用申出から認証IDの発行までには、審査期間として一定の日数がかかります。書類に不備があればさらに延びます。

「採用が決まったのでオンライン申請を使おう」と思って登録を始めても、ID発行を待っている間に、窓口で申請したほうが早かった——という事態は十分に起こり得ます。

外国人採用の予定がある、あるいは既に外国人社員が在籍していて更新手続きが発生する企業は、採用活動を始める前の段階で、利用申出だけ済ませておくのが正解です。IDを持っているだけなら費用も維持負担も発生しません。

IDの有効期限にも注意

取得した認証IDには有効期限があり、継続利用には更新手続きが必要です。「3年前に登録したから使えるはず」と思っていたら失効していた、というケースもあります。定期的に有効期限を確認しておいてください。

オンライン申請+電子交付で「入管に一度も行かない」を実現する

オンライン申請の効果を最大化するには、COEの電子交付(e-COE)とセットで使うことです。

  • 申請:オンラインシステムから提出 → 窓口に行かない
  • 交付:メールでPDFを受領 → 窓口に行かない、原本の国際郵送も不要
  • 本人への送付:メール転送 → 即日

この組み合わせにより、窓口での待ち時間と国際郵送の1〜2週間が、まとめて削減できます。

ただし、電子交付も申請時に希望する旨の選択が必要です。オンライン申請さえすれば自動的に電子交付になるわけではないので、申請画面での選択を忘れないでください。

特定在留カードとデジタル化の今後

2026年6月からは、在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード」の運用が始まっています。希望者が申請することで、2枚のカードを1枚にまとめられる制度です。

企業の人事担当者にとって直接的な手続き変更は限定的ですが、外国人社員から「特定在留カードに切り替えたい」という相談を受ける可能性はあります。切替は義務ではなく任意である点、切替後も在留カードとしての機能は維持される点を押さえておけば、基本的な質問には対応できます。

入管手続きのデジタル化は今後も進む方向です。オンライン申請の利用環境を整えておくことは、将来的な制度変更への対応力にもつながります。

オンライン申請でも変わらないこと

誤解のないように書いておきます。

オンライン申請を使っても、入管の審査期間そのものは短縮されません。また、提出する書類の内容・要件も窓口申請と同じです。

オンライン申請が削減するのは、移動時間・待ち時間・郵送時間といった「手続きの周辺コスト」です。審査を早めたいのであれば、書類不備による追完(追加資料要求)を発生させないこと——これに尽きます。追完が発生すれば、審査は容易に1か月以上延びます。

むしろオンライン申請では、窓口のように職員から「この書類が足りません」とその場で指摘してもらえません。提出前のチェックは、窓口申請以上に慎重に行う必要があります。

まとめ

  • 在留申請オンラインシステムにより、COE申請・更新・変更などが24時間365日オフィスから可能になる
  • 利用には事前の利用申出と認証ID取得が必要。ID発行には審査期間がかかるため、採用が決まる前に登録を済ませておく
  • 取得したIDには有効期限がある。失効に注意
  • 電子交付とセットで使うことで、入管に一度も行かず、国際郵送も不要になる
  • オンライン申請でも審査期間は短縮されない。むしろ窓口での口頭チェックがない分、提出前の書類確認は慎重に

制度の運用は随時変更されるため、最新の情報は出入国在留管理庁のウェブサイトをご確認ください。

参考:出入国在留管理庁「在留申請のオンライン手続」

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